2020年12月24日

黒潮の話〜流路と漁の関係〜

やっと本題の黒潮の流路とメヂカ漁との関係の話です。
以下に示すデータと知見は高知県水産試験場よりいただきました、ありがとうございます。

まずは過去4年間の足摺岬周辺のメヂカ曳縄漁(清水港と下ノ加江港での一本釣り漁)の水揚げの推移です。

過去4年の漁獲量

1〜3月はコンスタントに水揚げがありますが、4〜6月は年によってかなりバラツキがあります。
グラフ中、背景をピンクにしていますが、今年2020年は記録的な不漁だったことが分かります。一方2018年は好漁で年間の合計も他の年の倍近くになっています。

この2018年と2020年の4〜6月の黒潮の流路を比較します。
左が好漁の2018年、右が不漁の2020年でそれぞれひと月を上旬中旬下旬に分けています。

流路と漁獲量

こうしてみると好漁時は足摺岬に接岸し室戸岬にも接岸気味なのに対し、不漁時は足摺岬から離岸もしくは接岸気味であっても室戸岬からは離岸しています。
※いずれの年も2017年の8月から始まった黒潮大蛇行の期間中であり、紀伊半島沖で大きく蛇行していますが、大蛇行=不漁ではないとも分かります。

結論として足摺岬周辺のメヂカ漁は、黒潮の流路が接岸し東向きであれば好漁、流路が離岸し(または足摺岬で接岸していても)南東向きであれば不漁となると考えられます。

これらを踏まえ、次回は今後のメヂカ漁を予測したいと思います。
posted by まるきゅう at 17:36| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年11月24日

黒潮の話〜蛇行のメカニズム〜

大蛇行は一日にしてならず。
1匹の蝶の羽ばたきがやがて大きな気象現象を引き起こすバタフライ効果という言葉もあるように、何年も続く大蛇行も始まりは小蛇行がきっかけと考えられています。

典型的な例が、九州南東沖で発生した小蛇行が数ヶ月かけて黒潮の流れに乗って発達しながら東進し、東海沖にて大蛇行となるというものです。
多くの小蛇行は発達せずそのまま消滅したり、また小蛇行のできるきっかけも数年前の北太平洋の風の変動と関係していたりと、いくつかの偶然が重なって大蛇行という状態になります。

そんな儚いような大蛇行ですが、ひとたび発生すると何年も続くことがあるのはそのメカニズムにあります。
以下の図は気象庁から転載した暖水と冷水における渦の向きです。

暖水渦と冷水渦の様子

コリオリ力(りょく)という聞きなれない言葉が出てきますが、難しいので説明は割愛します。
北半球において冷水渦が反時計回りなのは、低気圧である台風が反時計回りであるのと同じ理由です。

この反時計回りの冷水渦と時計回りの暖水渦が歯車のように噛み合って、以下の図のように大蛇行を形成します。

黒潮蛇行のメカニズム

またこの冷水渦は東向きの黒潮の流れと、西向きに進もうとする波の作用(ベータ効果というみたいですがこれも難しいので割愛!)がつり合い、停滞します。

じゃあいつ大蛇行が終わるの?ということになりそうですが終わるときは突然のようで、東向きの黒潮の流れが強くなると冷水渦が海底山脈である伊豆海嶺とぶつかって消滅したり、大きな冷水渦がちぎれて小さくなって大蛇行が終わったりというパターンがあるようです。

こういった大蛇行は、世界の他の海流には見られない黒潮独自ともいわれる現象のようで、地上や海底の地形が大きく関係し、結果的に生息する魚種の多様性につながっているのではと思います。

とは言ってもこれは「宗田節ブログ」、メヂカの漁模様が一番気になる!ということで次回は黒潮の流路とメヂカ漁との関係を明らかにしたいと思います。
posted by まるきゅう at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年10月24日

黒潮の話〜流路の形態〜

前回の続きとして黒潮の不思議に迫ります!

まず黒潮の流れの規模ですが、アマゾン川の200〜300倍!(季節・場所によって変動)と言われています。
ご存じアマゾン川は世界最大の川で、流域面積は日本の国土の18倍!という想像もつかないスケールですが、黒潮はそのアマゾン川も子ども扱いです。世界中すべての河川を足した流量の50倍もあるとか。
そんな桁違いのスケールなので前回の「黒潮の流れ」の話も「川の流れ」ではなく「風の流れ」に近いという話も納得です。
アマゾン川と黒潮の比較

そしてここからがやっと本題の、メヂカの漁に最も影響する黒潮の流路の話です。
よく黒潮が接岸しているとか、離岸したとか聞いたことがあると思いますが、大きな黒潮の流れもその流れる場所は一定ではなく、様々な要因によって変化します。

その流れる形には2つの安定した型があり、1つが「大蛇行流路」、もう1つが「非大蛇行流路」です。
非大蛇行≒接岸と考えて良いと思いますが、細かく言うと以下の図のように非大蛇行の中にも接岸型(黄色)とやや離岸型(オレンジ)と2種類あります。

黒潮流路

昔は「大蛇行」状態は黒潮が離岸し漁が不安定となる「異変」と考えられていたようですが、近年の研究で安定した1つの型であると考えられるようになっています。

ちなみに2020年10月現在はどうかというと、2017年8月から3年以上にわたって続いた観測史上2番目の長さの大蛇行が終了したかもしれない!?という過渡期に差しかかっている状況です。
※1970年〜2020年までの50年間に大蛇行状態は14年と2か月、約1/3の期間が大蛇行状態となっています。

黒潮の魚であるメヂカは、黒潮の接岸が好漁となる1つの条件です。
今年の春目近の記録的不漁も大蛇行状態が大きく関係していると考えられます。

「漁の予測には黒潮の予測」ということで、次回の宗田節ブログはその大蛇行のメカニズムに迫ります。
posted by まるきゅう at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年09月24日

黒潮の話〜世界の海流〜

黒潮とは日本の太平洋側を南から北に流れ、房総半島沖を東に流れる暖流で日本海流とも呼ばれる日本を代表する海流です。
世界の表層の海流を以下に図示しますが、こうしてみると黒潮は北太平洋をぐるっと時計回りにまわる暖流の一部であることが分かります。

世界の表層海流

地上に棲む動物が気象に影響を受けるのと同様、海に棲む魚にとって海流は大きな影響があります。特にメヂカのような回遊魚は影響も大きくなります。
メヂカの漁について調べるうちにそもそも黒潮について知らなかったことが多く、今回のブログにまとめてみました。

まず個人的にずっと勘違いしていたことが一つ。
黒潮とはその名の通り海水が黒っぽく見えるからですが、その理由は「栄養が少ないから」
ずっと黒潮は栄養豊富な海だと思っていました!

海でいう栄養とは、食物連鎖を支える植物プランクトン(とその成長に必要な栄養塩)のことです。
植物プランクトンが「少ない→多い」につれて、「青→緑→赤」となります。赤はご存じ赤潮ですね。栄養塩が多すぎると植物プランクトンが増えすぎて赤潮となります。
黒潮は青黒い色、つまり極端に植物プランクトンが少ないため「海の砂漠」とも呼ばれているそうです。

ではなぜ現実に魚がたくさんいるのか?という疑問は「黒潮パラドックス」(パラドックス=矛盾)と名付けられ、今まさに研究が進んでいる分野のようです。
今のところ検索で出てくる研究成果では、植物プランクトンが「少ない」のは「ずっと少ない」のではなく、「多くもなる」がすぐに消費されるため「結果的に少ない」と考察されているようです。

その多くなる瞬間をもたらすのが、「乱流」と呼ばれる深層の栄養塩を表層へと運ぶ流れです。なかなか難しくなってきましたが、乱流の起こる仕組みは潮の満ち引きや地形など様々な要因があるようです。釣り好きな人は聞いただけで「魚の釣れるポイント」のようなものと想像できるかもしれません。その地球規模バージョンでしょうか。

また「黒潮の流れ」というと「川の流れ」を思い浮かべてしまいますが、実は「風の流れ」をイメージした方がより現実に近いようです。川の流れの周りは石や砂など異質なものですが、海水の周りも海水と考えると大気中の風と同じと考えた方が説明がつきやすいのかなと理解しました。

今回でまとめようと書き始めましたが、まとめきれませんでした。
続きはまた次回!
posted by まるきゅう at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年08月24日

メヂカの生態

メヂカの生態についてさらに詳しく見ていきます。
メヂカの成長については前回のブログの通りですが、1年のサイクルは以下ようになります。それぞれの時期の宗田節も比較用につけました。

メヂカの1年

産卵期を迎える5〜6月が最も脂がのって魚体が大きくなり、産卵後はやせ細り多くは死んでしまいます。
8〜9月には子供のメヂカが獲れ始め、秋にかけて徐々に大きくなり、冬季の1〜3月が寒目近と呼ばれる最高級の宗田節のできる時期となります。

ここで鋭い方は気付いたかもしれませんが、いくら成長が早いといっても6〜7月に生まれたメヂカが8〜9月に宗田節にできるほどの大きさになるのか?という疑問がわいてきます。

8〜9月のメヂカは笹目近(笹の葉のように小さい宗田節となる)と呼ばれる時期ですが、1匹150〜200gのサイズのものが主です。
そのサイズになるには半年近くかかるため、生まれて2ヶ月程度では計算が合いません。

その疑問を解消する答えは以下の図です。

めぢかの生まれる場所

実は高知県沖で漁獲されるメヂカには2つの異なった大きな群れがあるのです。
6〜7月に産卵する群れは「日本生まれ」のもの、8〜9月に獲れる群れは(1〜2月に産卵した)「熱帯生まれ」のものなのです。

こうやって生まれの違う2つの群れが高知県沖を回遊し、一部同化して越冬するので年間を通じて好漁場となるというのが、土佐清水が日本一の宗田節の産地であるという理由の1つです。

※謝辞:今回のブログでは土佐清水漁業指導所や高知県水産試験場の方々に資料やご意見をいただきました、ありがとうございます!
posted by まるきゅう at 16:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2020年07月24日

続、宗田節と鰹節の違い

前回のブログでは文字情報のみでしたが、写真で見ると一目瞭然。

めぢかとかつおの比較写真

大きい方がカツオ、小さい方がメヂカです。
ちなみにこの写真は市場から仕入れてきたタンクの中にカツオが紛れ込んでいました。
メヂカ以外が入っていることはよくありますが、こんな大きいカツオは初めてでした。

メヂカとカツオの成長をグラフで表すと以下のようになります。
めぢかとかつおの成長グラフ
このグラフで見ると写真の魚は、1.5歳ほどのメヂカと2.5歳ほどのカツオとなります。
どちらもそれぞれの節の原魚としては標準的なサイズと言えるのではないでしょうか。
ほぼ2年で寿命を終える(まれに3年生きるものもいる)メヂカに対し、カツオは10年生きることもあるようです。

グラフで見るとどちらも体長は半年で急激に成長しその後は緩やかなのに対して、体重の方はずっと同じペースで増加し続けているのが面白いですね。
ちなみに魚類全体で見てもかなり成長の早い種類の魚のようです。

ここからはさらにマニアックなメヂカとカツオの起源の話ですが…
…恐竜の絶滅した6500万年前に、水深200mまでの浅瀬に棲む魚も絶滅したそうです。
その後、200m以深に棲んでいた魚が浅い海を求めて爆発的に進化したものがカツオやマグロ、サバの祖先と考えられています。中でもメヂカを含むカツオやマグロの仲間は1000万年ほど前に誕生した最新の魚類と考えられています。
(以下参考にしたサイト)
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2013/20130904.html

理にかなった体型や色は言われてみれば最新鋭の魚のように見えます。
生存競争の厳しい浅い海で生き抜くために、メヂカはより早く成長するように進化したのかもしれないですね。
posted by まるきゅう at 14:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2020年06月24日

宗田節と鰹節の違い

2010年に宗田節ブログを書き始めて10年目、この記事がちょうど100回目になります。
最初のブログには月一更新の目標を掲げていたようですが、ここ数年はFacebookやInstagramが主になっているのでペース的には悪くないと思います。
これからも時事ネタ的なものはSNSにあげていき、この宗田節ブログの方は記録として使えそうなものを中心にアップしていきますのでよろしくお願いいたします。

さて記念すべき100回目は宗田節の永遠のテーマとも言える「鰹節との違い」について詳しく書きたいと思います。
以前、「宗田節の原魚は?」でもとりあげた系統図ですが、少し簡略化して図示します。

めぢかの系統図
赤い矢印で示した通り、鰹節はカツオ属のカツオからつくった節、宗田節はソウダガツオ属のマルソウダからつくった節のことです。
科(か)までは同じですが、種(しゅ)はもちろん属(ぞく)から違う魚ということです。
※図中、( )内は清水での呼び名です。

いまいちピンと来ない方のために、我々人間に当てはめると以下のようになります。

ヒトの系統図
なんとなく「属」の違いの距離感が分かっていただけたかと思います。
ゴリラやチンパンジーと間違われたくない方は、ぜひとも鰹節と宗田節の違いも覚えてください!
次回は実際の写真等を用いてさらに分かりやすく解説します。

※系統図による分類方法
界(かい)−門(もん)−鋼(こう)−目(もく)−科(か)−属(ぞく)−種(しゅ)の順で分けられていて種が一番細かく、界は動物界、植物界のように大きな最初の分岐です。さらに細かく群(ぐん)亜(あ)族(ぞく)などの分類もありますが今回は比較のため省略しています。
posted by まるきゅう at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2020年05月31日

決済代行会社変更のお知らせ

宗田節の新谷商店からのお知らせです。

おうちごはんセットをご注文いただき誠にありがとうございました。
特にご好評いただいたDセットは、お試しセットという形で残したいと思います。

また、6/1にオンラインショップの決済代行会社をヤマト運輸からソフトバンクに変更いたします。
この変更によって携帯(スマホ)からでも見やすく簡単にご注文いただけるようになります。

さらに、6/1-6/30にもキャンペーンの開催されるPayPayの決済もできるようになります。
(その他の決済はこれまで同様行えます)

変更の詳細は以下です。

変更日時:2020年6月1日(月)9:00〜12:00(予定)
変更前:クロネコwebコレクト
変更後:SBペイメントサービス
決済サービス:クレジットカード、コンビニ、PayPay


変更前の画面遷移のイメージ図は以下のようになります。

従来のカート

変更後は以下のようになります。

クレジットカード決済

コンビニ・ペイペイ決済

これまでご注文いただいていたお客様のクレジットカードの情報など、再入力していただく必要もできますのでご不便をおかけいたしますが、ご了承ください。

今後も使いやすく安心なウェブサイトを目指し改善して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
posted by まるきゅう at 10:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブサイトの更新

2019年11月16日

モバイル専用サイト開設

念願だったモバイル専用サイトをオープンしました。

スマホの普及で、当店HPも6〜7割ほどは携帯端末からのアクセスとなっています。
これまでのHPと中身は変わりませんが、小さい画面から見やすいページになりました。
パソコンからのアクセスはこれまで通りのページに繋がるようになっています。

2014年の11月16日にHPをリニューアルしてちょうど5年。
これからも使いやすいHPを目指して改善していきたいと思います。

モバイル専用サイト
posted by まるきゅう at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | ウェブサイトの更新

2019年10月01日

新谷商店の削り節

新谷商店の削り節は四代目が削りを担当し、選別・袋詰・梱包・発送は熟練の従業員さんと家族で行っています。
削るのは円盤に刃が何枚も付いた機械で削りますが、それ以外の工程は全て手作業です。
新谷商店ではきれいで美味しい削り節をつくるために、大事にしていることがあります。

1.削るのは最高品質の宗田節のみ
第一に大事なのは「削る宗田節の質」
削りに使う宗田節の質が悪いと、どんなに注意して削ってもきれいで美味しい削り節はできません。
宗田節は原魚のソウダガツオから煮熟・成形で重量が半分ほどになり、その後の焙乾で2割以下まで燻製された保存食品となりますが、身中の脂肪分が焙乾工程や保管中の敵です。
脂肪分が多いと焙乾が効き難く、保管中に酸化して味が落ちます。
削っても身は黄色く、粉っぽくなり匂いも味も良くありません。
土佐清水沖で1-2月に一本釣りされた寒目近は、魚体は中大型ですが脂が少なく削り節に最適です。
気をつけないといけないのは、年々寒目近の質が低下しているので選別が難しくなっていることです。その分、職人の腕の見せどころではありますが、原魚の漁獲高と同じく質にも毎年危機感を感じています。

2.削りの前の下準備をしっかりと
きれいに削るためには削りの前の下準備が大事です。
一本の節が数千の削り節になるのですから、削る前に余分なものを取り除いておくことが肝心です。
具体的には腹身の部分に少し残った内臓や、硬い皮の部分を取り除きます。
尾部が大きく反り返ったものは切り取ることもあります。
じっくりと蒸して加熱殺菌した後、遠赤外線を照射してきれいに削る前の下準備が完了です。

3.削り機の整備・調整は入念に
宗田節が削り節となる間に接するのは削り機です。
特に削り機の刃の調整・切れ味には気を遣います。料理人が包丁を手入れするのと同じく毎回削り機を手入れすることで良い削り節ができあがると考えています。
削り機の刃には超硬刃という鉄も削れるような素材が使われていますが、硬い宗田節を削るたびに切れ味が落ちていくので、新谷商店ではこまめに刃を交換しています。
切れる包丁でつくった刺身が美味しいように、削り節も同じです。

すべては美味しい削り節のために。
食べた人が笑顔になる削り節をつくるため、日々考え行動しています。

新谷商店の削り節
posted by まるきゅう at 22:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 伝えたい宗田節のだし文化