2021年01月24日

黒潮の話〜流路と漁の予測〜

黒潮シリーズの宗田節ブログも今回で5回目になりました。
今回の〜流路と漁の予測〜で一区切りとしたいと思います。
その前に、もう一度これまでの話からメヂカ漁に関するポイントをまとめてみます。

1. 足摺岬・室戸岬に黒潮が接岸している方が良い
2. 大蛇行=不漁ではないが、接岸=好漁とも言えない

という何とももどかしいまとめになりますが、何せ相手は魚、海況が良くても実際に来遊してきて釣れるかどうかは不明です。
さらに船の下が真っ黒に見えるほど泳いでいても、一切釣れない時もあるという話です。

予測の前に防衛線を張りまくっている気がしますが、そもそも今回の漁予測は不要になれば良いなと思っていました。
予測するまでもなく大漁やという状況です。例年であれば十分その可能性はありましたが、残念ながら昨年からの超不漁が続いている状況で現在まで水揚げはほぼ0です。

昨季の寒メヂカ漁はカツオを釣っているときにメヂカも釣れだしてメヂカ漁に転換して好漁になるという経過だったのですが、今季もカツオ漁はしているもののメヂカのケは無い(釣れそうな気配がない)ようです。

そこで本題の予測ですが、まず黒潮の予測を見ることが大事です。
いろいろな機関が予測していますが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)がYouTubeにアップしている長期予測を参考にします。



大蛇行の元となる青い塊(冷水塊)が移動しているのが分かります。
これまでが「安定した大蛇行」であったとするなら「不安定な大蛇行」と言えるような状況でこれが不漁の一因となっている気がします。

海況の専門家も大蛇行が終わったといえるかもまだはっきりと分からないという難しい状況になっています。
上記YouTubeの元記事を参考にしてください

海況の予測が困難な中で、それを元にした漁の予測ははたして意味があるのか?というそもそも論になりますが、無理やり予測すると2/9あたりから比較的黒潮の流路が接岸気味で安定しているように見えるので、希望も込みで寒メヂカ漁が始まってくれることを期待したいと思います。
posted by まるきゅう at 12:34| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年12月24日

黒潮の話〜流路と漁の関係〜

やっと本題の黒潮の流路とメヂカ漁との関係の話です。
以下に示すデータと知見は高知県水産試験場よりいただきました、ありがとうございます。

まずは過去4年間の足摺岬周辺のメヂカ曳縄漁(清水港と下ノ加江港での一本釣り漁)の水揚げの推移です。

過去4年の漁獲量

1〜3月はコンスタントに水揚げがありますが、4〜6月は年によってかなりバラツキがあります。
グラフ中、背景をピンクにしていますが、今年2020年は記録的な不漁だったことが分かります。一方2018年は好漁で年間の合計も他の年の倍近くになっています。

この2018年と2020年の4〜6月の黒潮の流路を比較します。
左が好漁の2018年、右が不漁の2020年でそれぞれひと月を上旬中旬下旬に分けています。

流路と漁獲量

こうしてみると好漁時は足摺岬に接岸し室戸岬にも接岸気味なのに対し、不漁時は足摺岬から離岸もしくは接岸気味であっても室戸岬からは離岸しています。
※いずれの年も2017年の8月から始まった黒潮大蛇行の期間中であり、紀伊半島沖で大きく蛇行していますが、大蛇行=不漁ではないとも分かります。

結論として足摺岬周辺のメヂカ漁は、黒潮の流路が接岸し東向きであれば好漁、流路が離岸し(または足摺岬で接岸していても)南東向きであれば不漁となると考えられます。

これらを踏まえ、次回は今後のメヂカ漁を予測したいと思います。
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2020年11月24日

黒潮の話〜蛇行のメカニズム〜

大蛇行は一日にしてならず。
1匹の蝶の羽ばたきがやがて大きな気象現象を引き起こすバタフライ効果という言葉もあるように、何年も続く大蛇行も始まりは小蛇行がきっかけと考えられています。

典型的な例が、九州南東沖で発生した小蛇行が数ヶ月かけて黒潮の流れに乗って発達しながら東進し、東海沖にて大蛇行となるというものです。
多くの小蛇行は発達せずそのまま消滅したり、また小蛇行のできるきっかけも数年前の北太平洋の風の変動と関係していたりと、いくつかの偶然が重なって大蛇行という状態になります。

そんな儚いような大蛇行ですが、ひとたび発生すると何年も続くことがあるのはそのメカニズムにあります。
以下の図は気象庁から転載した暖水と冷水における渦の向きです。

暖水渦と冷水渦の様子

コリオリ力(りょく)という聞きなれない言葉が出てきますが、難しいので説明は割愛します。
北半球において冷水渦が反時計回りなのは、低気圧である台風が反時計回りであるのと同じ理由です。

この反時計回りの冷水渦と時計回りの暖水渦が歯車のように噛み合って、以下の図のように大蛇行を形成します。

黒潮蛇行のメカニズム

またこの冷水渦は東向きの黒潮の流れと、西向きに進もうとする波の作用(ベータ効果というみたいですがこれも難しいので割愛!)がつり合い、停滞します。

じゃあいつ大蛇行が終わるの?ということになりそうですが終わるときは突然のようで、東向きの黒潮の流れが強くなると冷水渦が海底山脈である伊豆海嶺とぶつかって消滅したり、大きな冷水渦がちぎれて小さくなって大蛇行が終わったりというパターンがあるようです。

こういった大蛇行は、世界の他の海流には見られない黒潮独自ともいわれる現象のようで、地上や海底の地形が大きく関係し、結果的に生息する魚種の多様性につながっているのではと思います。

とは言ってもこれは「宗田節ブログ」、メヂカの漁模様が一番気になる!ということで次回は黒潮の流路とメヂカ漁との関係を明らかにしたいと思います。
posted by まるきゅう at 18:00| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年10月24日

黒潮の話〜流路の形態〜

前回の続きとして黒潮の不思議に迫ります!

まず黒潮の流れの規模ですが、アマゾン川の200〜300倍!(季節・場所によって変動)と言われています。
ご存じアマゾン川は世界最大の川で、流域面積は日本の国土の18倍!という想像もつかないスケールですが、黒潮はそのアマゾン川も子ども扱いです。世界中すべての河川を足した流量の50倍もあるとか。
そんな桁違いのスケールなので前回の「黒潮の流れ」の話も「川の流れ」ではなく「風の流れ」に近いという話も納得です。
アマゾン川と黒潮の比較

そしてここからがやっと本題の、メヂカの漁に最も影響する黒潮の流路の話です。
よく黒潮が接岸しているとか、離岸したとか聞いたことがあると思いますが、大きな黒潮の流れもその流れる場所は一定ではなく、様々な要因によって変化します。

その流れる形には2つの安定した型があり、1つが「大蛇行流路」、もう1つが「非大蛇行流路」です。
非大蛇行≒接岸と考えて良いと思いますが、細かく言うと以下の図のように非大蛇行の中にも接岸型(黄色)とやや離岸型(オレンジ)と2種類あります。

黒潮流路

昔は「大蛇行」状態は黒潮が離岸し漁が不安定となる「異変」と考えられていたようですが、近年の研究で安定した1つの型であると考えられるようになっています。

ちなみに2020年10月現在はどうかというと、2017年8月から3年以上にわたって続いた観測史上2番目の長さの大蛇行が終了したかもしれない!?という過渡期に差しかかっている状況です。
※1970年〜2020年までの50年間に大蛇行状態は14年と2か月、約1/3の期間が大蛇行状態となっています。

黒潮の魚であるメヂカは、黒潮の接岸が好漁となる1つの条件です。
今年の春目近の記録的不漁も大蛇行状態が大きく関係していると考えられます。

「漁の予測には黒潮の予測」ということで、次回の宗田節ブログはその大蛇行のメカニズムに迫ります。
posted by まるきゅう at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話

2020年09月24日

黒潮の話〜世界の海流〜

黒潮とは日本の太平洋側を南から北に流れ、房総半島沖を東に流れる暖流で日本海流とも呼ばれる日本を代表する海流です。
世界の表層の海流を以下に図示しますが、こうしてみると黒潮は北太平洋をぐるっと時計回りにまわる暖流の一部であることが分かります。

世界の表層海流

地上に棲む動物が気象に影響を受けるのと同様、海に棲む魚にとって海流は大きな影響があります。特にメヂカのような回遊魚は影響も大きくなります。
メヂカの漁について調べるうちにそもそも黒潮について知らなかったことが多く、今回のブログにまとめてみました。

まず個人的にずっと勘違いしていたことが一つ。
黒潮とはその名の通り海水が黒っぽく見えるからですが、その理由は「栄養が少ないから」
ずっと黒潮は栄養豊富な海だと思っていました!

海でいう栄養とは、食物連鎖を支える植物プランクトン(とその成長に必要な栄養塩)のことです。
植物プランクトンが「少ない→多い」につれて、「青→緑→赤」となります。赤はご存じ赤潮ですね。栄養塩が多すぎると植物プランクトンが増えすぎて赤潮となります。
黒潮は青黒い色、つまり極端に植物プランクトンが少ないため「海の砂漠」とも呼ばれているそうです。

ではなぜ現実に魚がたくさんいるのか?という疑問は「黒潮パラドックス」(パラドックス=矛盾)と名付けられ、今まさに研究が進んでいる分野のようです。
今のところ検索で出てくる研究成果では、植物プランクトンが「少ない」のは「ずっと少ない」のではなく、「多くもなる」がすぐに消費されるため「結果的に少ない」と考察されているようです。

その多くなる瞬間をもたらすのが、「乱流」と呼ばれる深層の栄養塩を表層へと運ぶ流れです。なかなか難しくなってきましたが、乱流の起こる仕組みは潮の満ち引きや地形など様々な要因があるようです。釣り好きな人は聞いただけで「魚の釣れるポイント」のようなものと想像できるかもしれません。その地球規模バージョンでしょうか。

また「黒潮の流れ」というと「川の流れ」を思い浮かべてしまいますが、実は「風の流れ」をイメージした方がより現実に近いようです。川の流れの周りは石や砂など異質なものですが、海水の周りも海水と考えると大気中の風と同じと考えた方が説明がつきやすいのかなと理解しました。

今回でまとめようと書き始めましたが、まとめきれませんでした。
続きはまた次回!
posted by まるきゅう at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | マニアックな話