2020年09月24日

黒潮の話

黒潮とは日本の太平洋側を南から北に流れ、房総半島沖を東に流れる暖流で日本海流とも呼ばれる日本を代表する海流です。
世界の表層の海流を以下に図示しますが、こうしてみると黒潮は北太平洋をぐるっと時計回りにまわる暖流の一部であることが分かります。

世界の表層海流

地上に棲む動物が気象に影響を受けるのと同様、海に棲む魚にとって海流は大きな影響があります。特にメヂカのような回遊魚は影響も大きくなります。
メヂカの漁について調べるうちにそもそも黒潮について知らなかったことが多く、今回のブログにまとめてみました。

まず個人的にずっと勘違いしていたことが一つ。
黒潮とはその名の通り海水が黒っぽく見えるからですが、その理由は「栄養が少ないから」
ずっと黒潮は栄養豊富な海だと思っていました!

海でいう栄養とは、食物連鎖を支える植物プランクトン(とその成長に必要な栄養塩)のことです。
植物プランクトンが「少ない→多い」につれて、「青→緑→赤」となります。赤はご存じ赤潮ですね。栄養塩が多すぎると植物プランクトンが増えすぎて赤潮となります。
黒潮は青黒い色、つまり極端に植物プランクトンが少ないため「海の砂漠」とも呼ばれているそうです。

ではなぜ現実に魚がたくさんいるのか?という疑問は「黒潮パラドックス」(パラドックス=矛盾)と名付けられ、今まさに研究が進んでいる分野のようです。
今のところ検索で出てくる研究成果では、植物プランクトンが「少ない」のは「ずっと少ない」のではなく、「多くもなる」がすぐに消費されるため「結果的に少ない」と考察されているようです。

その多くなる瞬間をもたらすのが、「乱流」と呼ばれる深層の栄養塩を表層へと運ぶ流れです。なかなか難しくなってきましたが、乱流の起こる仕組みは潮の満ち引きや地形など様々な要因があるようです。釣り好きな人は聞いただけで「魚の釣れるポイント」のようなものと想像できるかもしれません。その地球規模バージョンでしょうか。

また「黒潮の流れ」というと「川の流れ」を思い浮かべてしまいますが、実は「風の流れ」をイメージした方がより現実に近いようです。川の流れの周りは石や砂など異質なものですが、海水の周りも海水と考えると大気中の風と同じと考えた方が説明がつきやすいのかなと理解しました。

今回でまとめようと書き始めましたが、まとめきれませんでした。
続きはまた次回!
posted by まるきゅう at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2020年08月24日

メヂカの生態

メヂカの生態についてさらに詳しく見ていきます。
メヂカの成長については前回のブログの通りですが、1年のサイクルは以下ようになります。それぞれの時期の宗田節も比較用につけました。

メヂカの1年

産卵期を迎える5〜6月が最も脂がのって魚体が大きくなり、産卵後はやせ細り多くは死んでしまいます。
8〜9月には子供のメヂカが獲れ始め、秋にかけて徐々に大きくなり、冬季の1〜3月が寒目近と呼ばれる最高級の宗田節のできる時期となります。

ここで鋭い方は気付いたかもしれませんが、いくら成長が早いといっても6〜7月に生まれたメヂカが8〜9月に宗田節にできるほどの大きさになるのか?という疑問がわいてきます。

8〜9月のメヂカは笹目近(笹の葉のように小さい宗田節となる)と呼ばれる時期ですが、1匹150〜200gのサイズのものが主です。
そのサイズになるには半年近くかかるため、生まれて2ヶ月程度では計算が合いません。

その疑問を解消する答えは以下の図です。

めぢかの生まれる場所

実は高知県沖で漁獲されるメヂカには2つの異なった大きな群れがあるのです。
6〜7月に産卵する群れは「日本生まれ」のもの、8〜9月に獲れる群れは(1〜2月に産卵した)「熱帯生まれ」のものなのです。

こうやって生まれの違う2つの群れが高知県沖を回遊し、一部同化して越冬するので年間を通じて好漁場となるというのが、土佐清水が日本一の宗田節の産地であるという理由の1つです。

※謝辞:今回のブログでは土佐清水漁業指導所や高知県水産試験場の方々に資料やご意見をいただきました、ありがとうございます!
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2020年07月24日

続、宗田節と鰹節の違い

前回のブログでは文字情報のみでしたが、写真で見ると一目瞭然。

めぢかとかつおの比較写真

大きい方がカツオ、小さい方がメヂカです。
ちなみにこの写真は市場から仕入れてきたタンクの中にカツオが紛れ込んでいました。
メヂカ以外が入っていることはよくありますが、こんな大きいカツオは初めてでした。

メヂカとカツオの成長をグラフで表すと以下のようになります。
めぢかとかつおの成長グラフ
このグラフで見ると写真の魚は、1.5歳ほどのメヂカと2.5歳ほどのカツオとなります。
どちらもそれぞれの節の原魚としては標準的なサイズと言えるのではないでしょうか。
ほぼ2年で寿命を終える(まれに3年生きるものもいる)メヂカに対し、カツオは10年生きることもあるようです。

グラフで見るとどちらも体長は半年で急激に成長しその後は緩やかなのに対して、体重の方はずっと同じペースで増加し続けているのが面白いですね。
ちなみに魚類全体で見てもかなり成長の早い種類の魚のようです。

ここからはさらにマニアックなメヂカとカツオの起源の話ですが…
…恐竜の絶滅した6500万年前に、水深200mまでの浅瀬に棲む魚も絶滅したそうです。
その後、200m以深に棲んでいた魚が浅い海を求めて爆発的に進化したものがカツオやマグロ、サバの祖先と考えられています。中でもメヂカを含むカツオやマグロの仲間は1000万年ほど前に誕生した最新の魚類と考えられています。
(以下参考にしたサイト)
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp/research/news/2013/20130904.html

理にかなった体型や色は言われてみれば最新鋭の魚のように見えます。
生存競争の厳しい浅い海で生き抜くために、メヂカはより早く成長するように進化したのかもしれないですね。
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2020年06月24日

宗田節と鰹節の違い

2010年に宗田節ブログを書き始めて10年目、この記事がちょうど100回目になります。
最初のブログには月一更新の目標を掲げていたようですが、ここ数年はFacebookやInstagramが主になっているのでペース的には悪くないと思います。
これからも時事ネタ的なものはSNSにあげていき、この宗田節ブログの方は記録として使えそうなものを中心にアップしていきますのでよろしくお願いいたします。

さて記念すべき100回目は宗田節の永遠のテーマとも言える「鰹節との違い」について詳しく書きたいと思います。
以前、「宗田節の原魚は?」でもとりあげた系統図ですが、少し簡略化して図示します。

めぢかの系統図
赤い矢印で示した通り、鰹節はカツオ属のカツオからつくった節、宗田節はソウダガツオ属のマルソウダからつくった節のことです。
科(か)までは同じですが、種(しゅ)はもちろん属(ぞく)から違う魚ということです。
※図中、( )内は清水での呼び名です。

いまいちピンと来ない方のために、我々人間に当てはめると以下のようになります。

ヒトの系統図
なんとなく「属」の違いの距離感が分かっていただけたかと思います。
ゴリラやチンパンジーと間違われたくない方は、ぜひとも鰹節と宗田節の違いも覚えてください!
次回は実際の写真等を用いてさらに分かりやすく解説します。

※系統図による分類方法
界(かい)−門(もん)−鋼(こう)−目(もく)−科(か)−属(ぞく)−種(しゅ)の順で分けられていて種が一番細かく、界は動物界、植物界のように大きな最初の分岐です。さらに細かく群(ぐん)亜(あ)族(ぞく)などの分類もありますが今回は比較のため省略しています。
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2015年03月14日

宗田節の原魚は?

答えはソウダガツオ。
しかし、このソウダガツオには二種類の魚がいることをご存知でしょうか?

詳しくソウダガツオの系統を示すとこうなります。

ソウダガツオの系統図

百聞は一見に如かず。ヒラソウダとマルソウダを並べて撮った写真があるのでご覧ください。

二種類のソウダガツオ

単純に比較すると、その名の通り上のヒラソウダがやや平べったいのに対し、下のマルソウダは丸みを帯びています。
この写真ではほぼ同じ大きさですが、マルソウダは大きくても35cm程度で、ヒラソウダは60cmほどになるようです。

一日に何トンも仕入れた中でパッと目につく大きいソウダガツオはだいたいヒラソウダです。
マルソウダと違ってタタキなどにして食べるとおいしいので、数匹なら嬉しいですが何十匹も混じってくると、宗田節としては売れないので厄介です。

また見分け方も難しいので慣れないとなかなか大変。
一番簡単に見分けられる方法はエラの上部にある黒い点が離れているかどうか。

ヒラソウダ

マルソウダ

他にも小さく密集した鱗の生え方の形や背中の模様などいくつかポイントはありますが、エラの黒い点で見分けましょう!

なので厳密には「宗田節の原魚は?」と聞かれるとマルソウダと答えないといけないですが、ソウダガツオと答えるのが慣例になっていますね。
地元であればメヂカで通用するんですが。
ちなみにヒラソウダはスマと呼ばれています。
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2013年06月24日

梅雨目近にあるもの

梅雨に入り、雨の日が多くなってきました。
以前、うすごろ(めぢかの心臓)を珍味として紹介しましたが、今のめぢかにはこの時期にしかないものがあります。

ヒントは作業がしやすいように、腹を切って煮熟したこの写真に映っています。

煮熟後の梅雨目近

まだ大体のめぢかにどちらかが入っていますね。
答えはコレ!

梅雨目近の卵

卵です。

梅雨目近の白子

もちろん白子もあります。

この時期に獲れるめぢかは梅雨目近と言って、産卵前後で大型ですが少し脂が落ちてきています。
産卵が終わると夏の間は獲れなくなり、秋口の笹目近まで休漁期となります。
「宗田節大集合!」参照

宗田節は脂が少ない方が良い宗田節ができますが、産卵を終えためぢかは痩せすぎて良い宗田節にはなりません。
今日のように卵や白子が大きすぎても、宗田節となる身の部分が減るために歩留まり(生の状態を1とした宗田節となる割合)は悪くなります。

卵や白子は美味しいですけどね。
ちなみに、卵の方は少し粒を感じるポクポクとした食感で、白子はまったりと濃厚な味がします。
コレステロールが高そうなので食べ過ぎ注意な逸品です。
posted by まるきゅう at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2012年03月23日

これぞ珍味「うすごろ」

通常は釜で煮熟後少し冷ましてから頭と中骨と内臓を取り除き節に整形しますが、段取りの関係でその日の最後の仕事が釜揚げになることがあります。
宗田節とはの製造工程参照

そういうときの密かな楽しみがコレ↓
うすごろ

釜から揚げたてのアツアツの目近のうすごろを酢味噌で食べる。
(うすごろとは地元の方言で、魚の心臓を指します)
晩御飯前の空腹時なので、ビールを飲みつつ気がついたら4-50匹分くらい食べていることがあります。

写真はエラの下にあるうすごろを取りだしているところです。
うすごろの在り処

普段はうすごろを取る時間がなく、骨や内臓と一緒にフィッシュミール工場にて肥料へと加工されていますが、たまに無性に食べたくなる知る人ぞ知る珍味の紹介でした。
posted by まるきゅう at 16:21| Comment(3) | TrackBack(0) | 宗田節

2011年10月08日

宗田節大集合!

宗田節の原魚となるソウダガツオは、ほぼ年間通じて釣れる魚です。
「宗田節の種類」参照

この写真ではソウダガツオの生い立ちから順に並べてみました。

様々な宗田節

左から順に、1.笹目近、2.秋目近、3.寒目近、4.春目近、5.梅雨目近です。
(目近‘めぢか’というのはソウダガツオの通称です)

だんだんと大きくなっているのが分かるかと思います。
ちなみに写真では比較しやすいよう、めぢかの右半身を集めてみました。
それぞれ左側が背、右側が腹部分となってます。

4の春目近が一番大きいですが、これは4だけ室戸産の冷凍物であることと(その他は清水産の生)、5の梅雨目近は産卵後の魚体で痩せていて節にしたときかなり縮むためです。
また、4だけ茶色いのは脂があるために皮をむいているからです。

この中で1の笹目近と3の寒目近は脂が少なく良い宗田節となりますが、黒潮の流れによる海水温の状況に漁が左右され、近年では原油価格の上昇や漁船の減少等により漁獲高は不安定となってます。

去年は特に笹目近がほとんど獲れませんでしたが、今年は盆明けから地元の定置網にかかるようになり割とまとまった漁がありました。
そろそろ関西を中心とした市場に出回ってくるのではないでしょうか。

この調子で寒目近の漁もありますように!
posted by まるきゅう at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2011年07月03日

宗田節で夏バテ防止

今年は早めに梅雨が明けるとすぐ夏がやってきた感があります。
節電で嫌でも暑さと向き合わなくてはいけない今年、宗田節はいかがでしょうか!?

宗田節の原魚であるメヂカはカツオと同じく赤味魚で、機能性成分と言われるDHAやEPA、多めの血合い肉にはビタミンB群が豊富に含まれていますが、今回注目したいのはタウリンです。

タウリンいっぱい軽トラック
地元中浜の港を背景にした新谷商店の軽トラです。

タウリンとは、栄養ドリンクの「○○ミリグラム配合!」などのCMでおなじみのタウリンです。
・コレステロール低下作用
・血圧低下作用
・アルコール肝障害の予防
・糖尿病予防
などの効果があると言われていますが、宗田節にはこのタウリンが非常に多く含まれています。

主な食物と比較してみると(100g中のmgで表示)
ウナギ35、牛ロース・レバー49、牛タン238、サンマ187、アジ206、ヤリイカ342、マダコ593、カキ1178を抑えての、堂々の宗田節1431(鰹節426)

この暑い夏、宗田節を食べるしかない!?


※参考資料 宗田節の話(元高知県工業技術センター野村明著)
posted by まるきゅう at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節

2010年08月10日

削ってます

この時期、お盆休みで田舎に帰ってくる子供や孫のためにと、ご近所さんから注文が多くあります。
今日も半日かけて60袋ほどつくりました。

宗田節を味わいながら、土佐清水の風景を思い出していただけると嬉しいですね。

蒸し器
じっくりと蒸すことで節が柔らかくなり、きれいに削れます

宗田節削り
手前の網で粉になる部分を落としています

袋詰め
粉や皮に注意しながら袋詰めです
posted by まるきゅう at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節