2021年04月24日

宗田節の品質

突然ですがクイズです。
下の写真の二対の宗田節、どちらの品質が良いでしょうか?

比較その1

もう少し分かりやすい?写真にするとどうでしょう?

比較その2

答えは上写真は左の一対の品質が良く、下写真は右の一対が品質の良い宗田節です。

いずれも同じ日に水揚げされためぢかの焙乾5日目くらいの写真ですが、品質は様々です。
品質の良し悪しは原魚の脂の多寡で決まります。
基本的には同時期の原魚であれば、大きいものが脂も多めです。
さきほどの下写真はその典型ですね。

脂が多いと完成後の節の皮にしわがよります。
皮下脂肪が焙乾の妨げとなり、皮と身がぴったりくっついたまま焙乾が進んでいかないためではないかと思います。
そのため、産卵前の脂が多い時期のめぢかは皮剥ぎと言って皮を剥いで、ヌルッとした皮下脂肪を水で洗う手間をかけて宗田節にします。

とは言っても脂があるのは皮下だけではなく、身も同様です。
脂が多い宗田節は折ってみると、めしっと断面がギザギザになります。

脂断面

一方、良質の宗田節はパキッと断面が光ります。
ただ、一度冷凍した原魚は解凍時に多少脂が落ちるため断面はキレイでも良質とは限りません。

良断面

何をもって良質かそうでないかは用途によっても違いはあると思いますが、やはり味だと思います。
美味しいダシがどれだけとれる宗田節であるか?

主観ですが、脂の多い宗田節は風味が悪く味が薄く感じます。逆に良質の宗田節は風味が良く噛めば噛むほど味が染み出してくる気がします。後味は言わずもがなですね。

最後に少し脂があった宗田節と、良質の宗田節の削り節の写真を載せておきます。
どっちがどうか、もうお分かりでしょう!?

削り節比較
posted by 四代目 at 10:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2017年01月27日

宗田節のマニアックデータ

宗田節製造の最重要工程の「焙乾(ばいかん)」についてのレポートです。

原魚は12月上旬のめぢか(マルソウダ)、1匹350g前後の平均で少し脂があります。

工程は大きく分けると、@煮熟Aセイロ取りB焙乾の3つの工程で行われます。

@煮熟では前日に水揚げされためぢかを1時間から1時間半程度煮ます。
Aセイロ取りでは頭・内臓・中骨の順に取り除き、片身の状態にします。
B焙乾で1週間程度じっくり燻して水分を減少させ節にします。

今回はこの各工程でのめぢかの重量の変化について測定しました。

焙乾日数と重量推移データ

原魚では184g(片身分)のものが@とAの工程を経て、焙乾前には84gとなります。
実に54%もの減少!
これはセイロ取りでの頭・内臓・中骨の除去のみならず、煮熟することで生身の水分が減少することも要因です。

1日目2日目はしっかり火を入れることもあり、水分減少が大きくなっています。
そこからはじっくり火をやり、7日目の34gとなったところで仕上がりました。

最初の生身の状態から18%の重量しか残っていません!
この節では製品歩留18%となりますが、通年でみても20%いかないくらいの平均です。

それほど節の中には旨みが凝縮されています。
おかげで長期保存が可能となり、いざダシをとったときにはその旨みが解き放たれます。

以下に焙乾時の変化の様子の写真を掲載します。

宗田節の焙乾変化(皮側)

宗田節の焙乾変化(骨側)

一番左が焙乾前、それから1日毎に並べ一番右が7日後の完成した宗田節です。
全く同じものではないので多少のバラツキはありますが、最初の重量は誤差2g以内に抑えています。

鰹節のデータは多くありますが、宗田節は少ないので何かの参考になれば幸いです。
posted by 四代目 at 21:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2015年03月14日

宗田節の原魚は?

答えはソウダガツオ。
しかし、このソウダガツオには二種類の魚がいることをご存知でしょうか?

詳しくソウダガツオの系統を示すとこうなります。

ソウダガツオの系統図

百聞は一見に如かず。ヒラソウダとマルソウダを並べて撮った写真があるのでご覧ください。

二種類のソウダガツオ

単純に比較すると、その名の通り上のヒラソウダがやや平べったいのに対し、下のマルソウダは丸みを帯びています。
この写真ではほぼ同じ大きさですが、マルソウダは大きくても35cm程度で、ヒラソウダは60cmほどになるようです。

一日に何トンも仕入れた中でパッと目につく大きいソウダガツオはだいたいヒラソウダです。
マルソウダと違ってタタキなどにして食べるとおいしいので、数匹なら嬉しいですが何十匹も混じってくると、宗田節としては売れないので厄介です。

また見分け方も難しいので慣れないとなかなか大変。
一番簡単に見分けられる方法はエラの上部にある黒い点が離れているかどうか。

ヒラソウダ

マルソウダ

他にも小さく密集した鱗の生え方の形や背中の模様などいくつかポイントはありますが、エラの黒い点で見分けましょう!

なので厳密には「宗田節の原魚は?」と聞かれるとマルソウダと答えないといけないですが、ソウダガツオと答えるのが慣例になっていますね。
地元であればメヂカで通用するんですが。
ちなみにヒラソウダはスマと呼ばれています。
posted by 四代目 at 16:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2014年09月20日

笹目近漁

晩夏から秋口にかけて獲れる笹目近の漁が最盛期を迎えています。
今年は例年より少し遅い9月1日から揚がり始め、大漁日を2日3日はさみながら今日も少ないながらも水揚げがありました。

笹目近の漁のほとんどは土佐清水の窪津と以布利にある大敷網にかかります。

窪津漁港

一度の入札で30トンも水揚げがある大漁日には市場内は足の踏み場もないほどです。

暑い時期にくわえて、鮮度の落ちやすい小さい目近なので氷をきかせて工場まで運んできます。

タンクの上の笹目近

笹目近は100g〜200gほどの手のひらサイズ。写真の魚で110gほどです。

翌朝、窯でゆがいて一匹一匹頭や内臓など余分な部位を取り除き燻製にします。

仕上がった笹目近

4日ほど燻製にかけて仕上がった宗田節は水分が抜けてさらに小さくなります。

一匹分の笹目近

これは大き目(元は200g以上)の魚一匹分です。
分かりやすいように重ね合わせてみました。

笹目近にお絵かき

さらに分かりやすく、取り除いた部分を書き加えてみました。

日本中探しても、こんな小さな魚を頭や内臓を取り除いたうえで燻製にしている所は土佐清水市以外にないのではないでしょうか。
手間ひまかけた宗田節は、濃厚なのに嫌味のない美味し〜い出汁がとれますよ!
posted by 四代目 at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2014年05月07日

ゴールデンウィークの目近

ゴールデンウイークの最終日の昨日、下ノ加江の市場では目近漁が25tありました。

そのうちの4tあまりを買ったのですが、今朝目近を煮るためにニカゴに並べる作業をしているときです。
従業員が発見しました。

ピンクの目近

うっすらと赤みを帯びた目近。

ピンクの目近と通常の目近の比較

通常の目近と並べてみるとこんな感じです。

実はこのピンクの目近、以前にも発見されたことがあってそのときの高知新聞を検索してみました。

高知新聞のリンクからは写真が見れませんが、もう少し赤みが強かったようです。

気になる原因はオキアミなどに含まれる赤色の色素が何らかの原因で体表面に現れたとのこと。

それにしても以前の記事の目近が獲られたのが去年の9月24日のシルバーウィークのあるころ、今回がゴールデンウイークと単なる偶然だとは思いますが、まさかカレンダーに合わせて目近も赤く染まったとか!?
posted by 四代目 at 19:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2013年06月24日

梅雨目近にあるもの

梅雨に入り、雨の日が多くなってきました。
以前、うすごろ(めぢかの心臓)を珍味として紹介しましたが、今のめぢかにはこの時期にしかないものがあります。

ヒントは作業がしやすいように、腹を切って煮熟したこの写真に映っています。

煮熟後の梅雨目近

まだ大体のめぢかにどちらかが入っていますね。
答えはコレ!

梅雨目近の卵

卵です。

梅雨目近の白子

もちろん白子もあります。

この時期に獲れるめぢかは梅雨目近と言って、産卵前後で大型ですが少し脂が落ちてきています。
産卵が終わると夏の間は獲れなくなり、秋口の笹目近まで休漁期となります。
「宗田節大集合!」参照

宗田節は脂が少ない方が良い宗田節ができますが、産卵を終えためぢかは痩せすぎて良い宗田節にはなりません。
今日のように卵や白子が大きすぎても、宗田節となる身の部分が減るために歩留まり(生の状態を1とした宗田節となる割合)は悪くなります。

卵や白子は美味しいですけどね。
ちなみに、卵の方は少し粒を感じるポクポクとした食感で、白子はまったりと濃厚な味がします。
コレステロールが高そうなので食べ過ぎ注意な逸品です。
posted by 四代目 at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2013年03月27日

ボサの話

土佐清水市を訪れた人は道端に積まれた薪を見たことがあるかもしれません。

ボサはえ

薪というには大きい長さ60cm程に切りそろえられた木は、地元ではボサと呼ばれ宗田節の燻製には欠かせないものです。

ボサには桜やウバメガシなど地元の山に自生する広葉樹が使われます。

宗田節造りの技術は燻製の技術と言っても過言ではないほど重要な工程を担うボサ。

燻製室

1回でこれだけの量を燃やし、それを一晩に4回。
写真撮影で裏の窓を開けているため、少なめになっている煙でもこの量です。

中央の金網が1階部分ですが、通常は使用せず上部の2階部分からセイロ取りをしためぢかを入れ、日を追うごとに3階、4階と上げていきます。

時期によって違いはあるものの、宗田節が完成するまでには火を焚き続けて一週間ほどかかります。

土佐清水市では年中この燻製の煙があがっているため、旅行客が間違えて消防署に通報したという笑い話まであるほどです。

実は一枚目の写真でも当店の節納屋からの煙が見えています。
少し坂を下ってアップに写した写真がコチラ。

節納屋からの煙

この煙を見ても間違えて通報しないように!
posted by 四代目 at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2013年01月15日

カビ付け宗田節

爆弾低気圧の影響で大変な関東方面とは裏腹に、昨日も小さな影響ですんだ土佐清水市では今日はうって変わって雲一つない晴天となりました。

こういう天気は絶好の節干し日和。
宗田節にカビを付けたカビ付け節を浜一面に干しました。

浜一面の宗田節

どれも同じカビ付け節に見えますが、ひとつはカビ付け直後の宗田節で、もうひとつは出荷前の宗田節です。

カビ付け宗田節の比較

カビ付け直後の宗田節は少し青っぽく見えると思います。
今日一日、太陽と風をいっぱいに受けた宗田節は倉庫で保管され、害虫追いカビに気を遣いながらカビの熟成具合を見て数か月後に出荷前の宗田節となって再び日の目を見ることになります。

出荷前の宗田節

カビを付けない裸節と比べると手間がかかりますが、カビが成長する過程で宗田節にある脂を分解してより美味しいだしの素となり、主に関東方面へと出荷されます。

害虫・・・宗田節を食べる虫の幼虫や、カビを食べる微生物も存在するため定期的に殺菌が必要です。

追いカビ・・・高温多湿となる梅雨時期から夏にかけてカビの上にさらに追いカビ(白いカビ)がついてくるので除湿や換気をして対策しています。

posted by 四代目 at 22:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2012年12月26日

仕事納め

今年の秋目近の漁は例年より少なめですが、めずらしく宿毛の巻き網に一日平均5〜10tほどコンスタントに水揚げがあります。
値段はキロ当たり100円から120円ほど。
大きさは550g前後ですがそれほど脂も無く、まだ寒目近とまではいかないかもしれませんがまずまずの品に仕上がりそうです。

コンテナ内の目近

このコンテナは少な目に入れて約600kgの目近がはいっており、数にすると1000匹以上!

1日あいだを置いて翌々朝に1匹1匹腹を上にしてニカゴに並べ、整形しやすいようにカッターで腹を切ります。
(あいだを置くのは鮮度が強すぎると煮熟の工程で身割れをして節にならないためで、目近の釣れる時期や鮮度によって様々です)

釜揚げ直後の目近

釜揚げ直後は工場中に白い湯気が立ち込め、何とも言えない香りに包まれます。

今年はこれで仕事納めとなりそうですが、来年は寒目近が豊漁でありますよう!


本年も皆様に大変お世話になりました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
posted by 四代目 at 18:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2012年05月30日

春目近漁

現在、春目近の漁真っ盛り。
毎日土佐清水市内で100t以上の漁があります。

産卵前で魚体も大きくなってきて、一隻当たり平均1.5tも釣ってきています。
二人乗りの漁船だとなかには2.5tほども釣って帰ってくる漁船も。

一尾500gとすると、3000尾ほど一人で釣っている計算になります。
しかも一尾一尾一本釣りで。プロじゃないと無理ですね。

ただこの時期気をつけないといけないのは魚の鮮度。
気温が上がってくることに加え、大漁で冷蔵が行き届かないこともあります。

そのためタンク一面に氷を打って翌朝に備えています。
入札で一円をあらそっても、氷代をケチるのは厳禁ですね。

氷を打った春目近
posted by 四代目 at 21:21| Comment(3) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2012年03月23日

これぞ珍味「うすごろ」

通常は釜で煮熟後少し冷ましてから頭と中骨と内臓を取り除き節に整形しますが、段取りの関係でその日の最後の仕事が釜揚げになることがあります。
宗田節とはの製造工程参照

そういうときの密かな楽しみがコレ↓
うすごろ

釜から揚げたてのアツアツの目近のうすごろを酢味噌で食べる。
(うすごろとは地元の方言で、魚の心臓を指します)
晩御飯前の空腹時なので、ビールを飲みつつ気がついたら4-50匹分くらい食べていることがあります。

写真はエラの下にあるうすごろを取りだしているところです。
うすごろの在り処

普段はうすごろを取る時間がなく、骨や内臓と一緒にフィッシュミール工場にて肥料へと加工されていますが、たまに無性に食べたくなる知る人ぞ知る珍味の紹介でした。
posted by 四代目 at 16:21| Comment(3) | TrackBack(0) | 宗田節造り

2011年10月08日

宗田節大集合!

宗田節の原魚となるソウダガツオは、ほぼ年間通じて釣れる魚です。
「宗田節の種類」参照

この写真ではソウダガツオの生い立ちから順に並べてみました。

様々な宗田節

左から順に、1.笹目近、2.秋目近、3.寒目近、4.春目近、5.梅雨目近です。
(目近‘めぢか’というのはソウダガツオの通称です)

だんだんと大きくなっているのが分かるかと思います。
ちなみに写真では比較しやすいよう、めぢかの右半身を集めてみました。
それぞれ左側が背、右側が腹部分となってます。

4の春目近が一番大きいですが、これは4だけ室戸産の冷凍物であることと(その他は清水産の生)、5の梅雨目近は産卵後の魚体で痩せていて節にしたときかなり縮むためです。
また、4だけ茶色いのは脂があるために皮をむいているからです。

この中で1の笹目近と3の寒目近は脂が少なく良い宗田節となりますが、黒潮の流れによる海水温の状況に漁が左右され、近年では原油価格の上昇や漁船の減少等により漁獲高は不安定となってます。

去年は特に笹目近がほとんど獲れませんでしたが、今年は盆明けから地元の定置網にかかるようになり割とまとまった漁がありました。
そろそろ関西を中心とした市場に出回ってくるのではないでしょうか。

この調子で寒目近の漁もありますように!
posted by 四代目 at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 宗田節造り